甘やかす話
普段ドキドキさせられてるぶん、お返ししてやろうと思った。
「ふみやくんも甘えていいんだからね」
ベッド端に座った私はそう切り出して腕を広げた。
「……何?」「私には詳しくは分からないけど、ふみやくん色々頑張ってるでしょ。その疲れを癒そうと思いまして」「ふーん」
ふみやくんはしばらく私のことを見つめると、すす、と抱きしめられに来てくれた。と思ったらゆっくりと押し倒される。あれ?
「ふ、ふみやくん違う!ちがう!」
すぐ横にある彼の腕をポンポンと叩けば小首を傾げられる。
「まぁまぁまぁ」「まぁまぁじゃない!」「癒してくれるんじゃないのか……」「何を想像したの!? しょんぼりしたってだめ! やりなおし!」
仕切り直し……。
「ほら、ふみやくんおいで」
改めてふみやくんは、すす、と抱きしめられに来てくれた。彼の纏ういい香りがふわ、と濃くなる。少しして、彼の方からも腕を回してくる。
「よいしょ……ほんとは頭撫でてあげたいけど、かっこよくセットしてるもんね」「代わりにほら、背中ぽん、ぽん」
ふみやくんはされるがままになっていてくれている。どんな表情をしているのかわからなくて少し怖いが……。抵抗されないということは嫌がってないということだろう。多分。
「ぽん、ぽん。よしよーし……って、わ」
腰に回された腕の力が強まり、苦しいくらいに引き寄せられる。ふみやくんは肩口に顔をうずめてぐり、と頬を擦り付けてくる。
「あはは、苦しいよ、ふみやくん」
「……名前」
なあに?と聞けば、「ケーキ食べたい」と返ってくる。
「ケーキ?」
「甘えていいんだろ」
そう言って微笑むさまはまるで小悪魔だ。
「仕方ないなあ……一緒に買いに行く?」
提案すると、ん、と頷いてくれる。いったん離れてもらって、立ち上がる。
手を差し出したらその手を、きゅ、と大きな手が包んだ。
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コンビニにて……。
「あ、みんなの分も買ってくの?」「いや、俺の分」「全部?!」
お財布は寂しくなったが満足そうなふみやくんの笑顔が見られたのでよしとする。
そんなことをしたら、次の日からふみやくんがお風呂上がりに部屋に来るようになった。「あれやってよ」ついでに髪も乾かして、とタオル片手に甘えてくれるようになった。かわいい。
221103 牡牛座男性(特にB型)の恋愛傾向とか読んでいたら思いついてしまった回です 今もそこそこ甘やかされている方だとは思いますがもっと甘やかされているふみやくんが見たかったので……